カゲナシ*横町 拍手御礼小説2



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取り立て屋




どん、とリビングのソファを一人で占領している人物を見て、俺は条件反射よろしく、扉を閉めた。


「どうして閉める」

「あんたがココにいるってことを認めたくない。ていうかなんでいんだよ!!?」

「物取りだ」

「取り立てと言えせめて」


俺はしわの寄っているだろう眉間に、より一層力を込めて玄関扉を睨みつけた。
十秒経って状況が変わらなかったため、俺はゆっくりと一歩扉から離れる。
その瞬間、ドバァンッと勢いよく扉が俺の方に飛んできた。大体予想はしていたから、避けることは簡単だった。


「あの不審者は? 一応保護者はガイルってことになってるからお前さんとこに来てるけど、第一にこのツケ払うべきはあいつだからねぇ」

「俺が聞きたいわ。で、そのイロイロ弾け飛びそうな扉の修理代分は差し引いていけ」

「分かった。まぁ差し引いたところで、こんな古びた扉の一つや二つ、あいつのツケに比べりゃ微々たるもんさね」

「・・・・そこんとこだけは聞きたくないがな。一体今回はどれぐらい」

「酒代、つまみ代、食器の弁償代その他諸々合計して二万八千六百イザ」

「にま・・・・」


俺は絶句した。天を仰いだ。死にたくなった。
さすがに二万は行き過ぎだ。今までだって、せいぜいが九千程度だったのに。
この瞬間、俺の心の中であの不審者への殺意が明確になった。


「とりあえず、中で待ってるとするかね。茶、入れさせてもらうよ」

「勝手にしてくれ・・・・」


投げやりに答えて、俺は右手で目元を覆った。そのまま一気に脱力する。
くすくすと、正面から笑い声が聞こえてきた。それはすぐに遠ざかり、しばらくして水音が響いてくる。


『STRANGE』 ガイル、アデレーナ=ウィック


(09/03/03〜09/05/06)