□ 丘の上でのお話 □ 「どうして、この町に? 変な噂は流れてるみたいだし、むしろ旅人はみんな避けていくよ?」 「だから、って答えたら、どうする?」 「? 変わってるね〜。やっぱり『変人の町』だからかな」 「かもしれないね」 「君は、すごく強い魔力を持ってるんだね」 「・・・ああ」 「あ、別に硬くならなくていいよ? ねぇ、君って魔法の勉強、できる?」 「・・・それ、なりに」 「だったらさ、僕にちょっと教えて欲しいんだ。図々しいけど、ホントお願い!」 「なんでまた」 「ん〜・・・姉さんの役に立ちたい、かな? 姉さん、一人で教会の仕事してるし」 「教会の仕事になんで魔法が必要なんだい」 「う、うーん・・・ときたま、君と違って何も知らず迷い込んでくる旅人がいるんだよね。 そういう人たちで、ケガをしてる人とか治せるの、ほんの少ししかいないんだ・・・」 「・・・けっこう、田舎って聞いてた割に規模の大きな町だけど?」 「偏ってるんだよ。聖職者で、治癒魔法が使える姉さんと、もう一人・・・ちょ、ちょっと個性的な お医者がいるくらいで、あとはガレアンの救護係とか・・・」 「・・・医者になろうって人はいないの?」 「大体はこの町から出たがらないし、実際、そんなに医者とかが必要になる事態に なったことがないんだって・・・だから、医者を目指す人もあんまり。 ・・・唯一、医者って人はいろいろヤバいし」 「?」 「・・・そ、そんなわけで! 僕も魔法を覚えて、姉さんとかの仕事を減らしてあげたいし!」 「滅多にそういうことにならないんでしょ?」 「うっ!?」 「・・・」 真紅の髪が 風に揺れる。 「・・・いーよ」 「・・・・・・へ?」 「いいよって。治癒魔法の基礎だけなら教えてあげる。 っていうか、お姉さんが聖職者なら、基礎さえわかれば直接習って力をつければいいし」 「・・・」 「・・・ひょっとして、格好悪いとか思ってる?」 「うっ!? なんでそう筒抜けなの!?」 「君、もう成人なんだよね? ものすっごく子供っぽい・・・」 「・・・一応、じゅうはち」 「僕の方が二つ年上か」 「え、二十歳!? 大人びてるから、もうちょっと上かと・・・」 「・・・別に、男同士だから特に気にしないけど。僕の外見、年相応だと思うよ?」 「あ〜、ちょっと、それ・・・」 「?」 「うん。もう少しあの町の暮らしに慣れてきたら、だんだんわかるよ」 「???」 「それじゃ、戻ろっか〜」 「そうだね・・・ねぇ、君のお姉さんってどんな人?」 「ん? とにかく優しいとしか言えないね〜。すっごいお人好し。 家事とかなんでもできちゃうし・・・あ、でも僕と一緒のところ、ダメなんだ」 「なに?」 「・・・歌がめちゃくちゃ下手」 「・・・ぷ」 「ガレアンにも『どんなに浮かれててもお前等は歌うな』って禁止令だされてさぁ。 メルティナさん・・・あ、ガレアン隊員の人なんだけど、いくら教えてもらっても上達しないし」 「へぇー。今度鼻歌でも聴かせてよ。なんかそこまで聞くと、実際歌われたら死んじゃいそう」 「そ、そこまで言う?」 サワサワ ・・・ サワサワ ・・・ □ fin □ エイルムとティルトの二人が出会ったときの、ほのぼの会話です。 これから二人、お姉ちゃんやメミィと四人で仲良くやっていきます。 ・・・・本当は、もっと幼いときに出会ってるはずなんだけど(汗 |