STRANGE - カゲナシ*横町

□ ぐびぐびプハーと一息ついて □


カラ カララン・・・・

店の戸口にぶらさがっているベルが鳴り、二人の男が入ってきた。
それを見て、アデレーナはため息をつく。

「・・・・借金野郎、とっととツケ払ってけや」
「ツケならガイルが払ってんじゃん〜。って、ほらほらお前も欲しいって言ってたヤツ譲るから」
「あたしゃガキじゃないんだよ不審者!! 酒はもらっておくが、ツケはそのままだからな」
「んでだぁアデレーナ。いいじゃねーか、シェリストークの銘品だぜそれ」
「酒の一本も持ってこないネジ抜けもさっさと帰れ!」

アデレーナはいつも以上に暴言を吐きまくり、ステントラの手から酒瓶をひったくると調合用のたなに突っ込んだ。
それを見て、ステントラとケゼンはひそひそとつぶやく。

「・・・・なぁ、相当苛ついてるよな。何あったんだ?」
「俺が知るかよこのヤロ。なーんかアデレーナの機嫌逆なでするよーなことって」
「バッ、声でけーんだよてめぇは!?」
「あたしの機嫌が悪いなんざ、あの常春ぐらいしかいねーだろぅ!?」

ダンッ! と、この酒場『アクセント』で一番容量の大きいジョッキをカウンターに叩きつけ、アデレーナはそこにビールをなみなみと注いでいく。
その異常な量を見て、ステントラの顔が蒼くなった。

「ちょ、待ってアデレーナ!? それ絶対飼い葉桶くらいあるよね!? そんなに飲んだらカリナじゃねーんだし死ぬよ!?」
「酒に強いのは何もカリナだけじゃないさ、あたしだってあんたとそこのオヤジとガレアンの馬鹿足したくらい許容範囲内だよ、はんっ」

両手でジョッキをあおり、五回ほど喉を鳴らして口を離す。
今のでコップ一杯分は干したはずだが、アデレーナの顔は赤くなるどころか、目がうるんだりもしていない。
その完璧にやさぐれた姿を見て、ステントラとケゼンは顔を見合わせ、少し離れたカウンター席に座った。
そして、いつもと真逆な愚痴モード突入。

「あの常春野郎、いい男にはバラとか本気でまだ言ってるからねぇったく。古いんだよあのたらしっ!!」
「ま、確かに一昔前って感じはするけどな」
「けどよーアイツ顔自体はいいから、女は途切れないんだよなー。飽きねぇの?」
「そーゆーのが好みな女はなっ! んぐっ」
「ま、またイッキ・・・・」

・・・・その後、延々『脳内常春一昔前なたらし野郎』について溜まっていた鬱憤をこれでもかと吐き出し、ジョッキを一滴残さず干した頃、アデレーナは立ったままカウンターに突っ伏し、すやすやと寝息を立て始めた。
それだけでも一葉におさめておきたいほどの美しさだが、実際そばにいる側としては酒の臭いがプンプンで美しさ以前に女としてどうか、と思ってしまう。
結局、ぐだぐだと飲みに来たはずの男二人はアデレーナをソファに寝かせ、ジョッキを片付け、お使いから帰ってきたニナに半殺しにされかけて、それぞれの家へ戻ることになった。

その後、アクセントは数日間閉店となり、理由を知らぬ一人の青年はがっくりと扉の前で肩を落としていた。

「・・・・全く、しつこい男がいやでやけ酒なんて、男らしいじゃないか」


□ fin □


なんとなく、酒場の姉御がむかっ腹立ててヤケ酒あおるところが書きたかった(何
ステントラは代金をツケながらも、とりあえず代わりの酒を貢いできてます。
ケゼンは、ツケ続けるばかりです(実はコイツの酒代もガイル名義だったり)。