![]() (1) しんしんと降る雪の冷たさが、もうあまり分からなくなっていた。 「ったく、あの不審者め、一体どこに隠れやがった」 だぶだぶのマントを、肩の辺りでベルトを使って留めている少年が、ぽつぽつと街灯の灯る路地を一人で歩いていた。かなり早足で、うっすらと路地に積もっていた雪を蹴散らしていく。 と、突然風が吹いてきて、彼が深く被っていたフードをばさりと吹き飛ばした。 「・・・・ったく」 風の余韻になびく若草色の髪を一瞥してから、少年は少々つり目気味の澄んだ空色の瞳を、灰色の雲で覆われた空に向けた。とたん、表情が険しくなる。 「また、ひどくなりそうだな」 そう言って、彼は止めていた足をまた素早く動かし始めた。 一人の少女が、熱心に窓の向こうを見つめていた。その隣に、一人の少年が座っている。 「おにいちゃん、あたし外であそびたいー」 「 「やだー! 晴れたら雪、なくなっちゃうもん! あたし雪遊びしたいー!」 「まだいっぱい降るよ。そんなに心配しないで、きちんと寝てて。ほら、そばにいるから」 少年はぶすーっと頬を膨らませる少女、未来の頭を、ぽんぽんと優しく叩いてベッドへ促した。未来は渋々といった様子でベッドの中に入り、頭まですっぽりと覆ってしまう。 (弱ったな) 少年はぽりぽりと頭をかいて、はたと思いついた。 「未来、未来、それじゃ僕、いいもの持ってくるよ」 「いいもの・・・・?」 ぴょこっと鼻先まで毛布のはしから顔を覗かせて、未来が期待に満ちた目で少年を見返した。 「うん、サンタさんのプレゼントとは違う、僕からのプレゼント。ね、いいでしょ?」 「うん!」 「じゃあ、未来はここでちゃんと寝てて? いい子にしてないと、サンタさんのプレゼントも僕からのプレゼントももらえないんだから」 「やっ」 そう言って、未来は毛布の中に潜り込んだ。しばらくその膨らんだ毛布を、一定のリズムで叩いていたら、中からすうすうというかすかな寝息が聞こえてきた。呼吸困難にならないよう、きちんと顔を出させてから、少年は部屋を出る。 てきぱきとコートを着て手袋をつけ、最後に玄関から家の中をのぞく。仕事で両親が共に不在の状態だが、まだ大丈夫だろう。そう思って、少年は玄関を飛び出した。 |
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