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□ 第一巻 守るための誓い - プロローグ ナトバ大陸ヨーゲンバード国、その東に位置する町フィロット……通称《変人の町》。 ちょっとやそっとじゃへこたれない、めげない、諦めないという意志が根底にある人間ばかりが集まってしまった、奇妙な町。全ての出来事に住民が全力でぶつかり、後悔などするものか、と声高に叫んでいる。 その《変人の町》で起こった事件……魔物の群れを伴った《ゼト》の襲撃は、町にも人々にも、深い傷跡を残していった。住民の大半がなんらかの怪我を負い、死者もまたかなりの数にのぼった。襲撃を仕掛けてきた《ゼト》の構成員のほとんども、捕縛する前に殺されていたり、捕縛後に自害するなどしている。たったの二日間で、町全体に血の臭いが染みついてしまった。 それから、二ヶ月。 あまり四季の変化が見られない地方であるフィロットにも、冷たい風が吹き込んでくるようになった頃。亡くなった者達への追悼も済まされ、復興作業も八割方完了していた。 そんな、ようやっと止まっていた時間が流れ出そうとしているフィロットに、またもや事件の影が近づいてきていた。 …………盛大な高笑いと共に。 |