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![]() (3) 夜七時過ぎ、『アクセント』ではクリスマスパーティが始まり、わいわいがやがやと賑やかに・・・・。 「・・・・」 「カッティオ、いつまでこそこそとおれ、・・・・もういいや。俺のこと見て笑ってやがんだこの野郎」 普段の数十倍口が悪くなっている同僚にゴン、と後頭部を殴られ、カッティオは無表情のまま振り返る・・・・が、微妙に口元が引きつっている。 それを見て、レイドは顔の筋肉をぴくりと、実に器用に動かした。 「てめぇ・・・・」 「・・・・おい、いつものキャラはどうした」 飄々としていてキザでナルシストで女たらしで・・・・という部分が、実は演技だと言うことを知るものは少ない。 というかそんなの演技と思わない。 「にしても、よくまぁそんなもの承諾したな?」 カッティオはレイドの着るサンタ衣装を、上から下までじっくり見ながら言う。 「ステントラにがっちり固定されて、最後は失神させられたんだよ」 「なるほど。しかしお前を失神させるとは、ステントラもなかなか・・・・」 「ティルトが! 裏切りやがったんだよ!」 「それはお前がミリルにいつもちょっかい出してるからだろう。当然だ」 そう言いながら、カッティオはテーブルに置かれた鍋からスープをよそう。 ずい、と差し出されたそれを思わず受け取り、レイドは訝しげな表情をする。 「枯れ葉がそのまま入るのかと思っていたんだがな。お前の分にきっちり入れてやろうと思ったのに」 「枯れ葉って、お前・・・・」 「スプーン」 スプーンを手渡され、レイドはため息をつきながらスープを飲もうとする。 が、スープをすくったスプーンを口元まで運んでから、ふと目の前に立つカッティオと目が合う。 カッティオは相変わらず無表情だが・・・・なにかを待っているようで。 「・・・・・・・・」 レイドはまたスープに視線を落とし、しばらく固まって、やがてゆっくりとすすった。 「・・・・ふーん、薬草入りのスープねぇ・・・・」 ちら、とカッティオを見る。 「俺が採ってきたヤツだ」 カッティオは聞かれてもいないのに、ぼそりとつぶやいた。 そして、ぷいとそっぽを向き、自分の分のスープをよそう。 レイドは、珍しく照れている友人をとっくりと眺め、吹き出した。 「なんだ」 「ふ・・・・いや、うん。案外ガキっぽいんだなって」 「・・・・・・・・」 カッティオの眉間のしわが二本ほど増える。 「・・・・今日は、なんだってそんなに言われるんだ」 「あ、他にも言われたの?」 「・・・・・・・・」 沈黙が肯定となり、レイドは今度こそ腹を抱えて笑い始めた。 「くっ、はは、ふふふふ・・・・あは、はは!」 「・・・・お前の、その格好ほど、笑えるとは思わんが」 ぴし、と二人の間で何かが砕ける音がした。 瞬間、レイドはスープを一気に飲み干して、乱暴に皿をテーブルにおいた。 またグレ始めたレイドを見て、カッティオはふぅ、と天を仰いだ。 カウンターにおいてあったグラス二つに、半分程まで酒を注ぎ、一方をレイドに差し出した。 「・・・・――――――。・・・・」 「・・・・は?」 「なんでも、クリスマスでの合い言葉・・・・とか、ステントラがよくわからんことを言っていたが」 レイドはぽかんとした表情でカッティオを眺めて、ふ、と微笑んだ。 「へぇ、そうなんだ。てかステントラってホントいろいろ知ってるよね。どこでそんな知識仕入れてるんだか」 「さぁ」 グラスを受け取り、ついでに立ち上がる。 かち、とカッティオのグラスにぶつけ。 「・・・・」 口を開く。 ・・・・ Merry Christmas |
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