□ 第一巻 白き小鳥の真実 - エピローグ 「……つー……おい、頭ガンガンする。なんでだ」 「お、ガイルくん二日酔いかね? 全く飲めないとか言っておいてこのぉ〜」 「気、色悪いんだよボケ。う〜、……」 「頭蓋骨真っ二つじゃなくってよかったですね。テッドさんもすっごく驚いてましたよ。あれだけ音響かせておいて、よく青タンだけで済んだなぁ〜って」 「それ……全っ然ほめ言葉じゃねー……」 ガイルはベッドでうめきながら、ティルーナの差し出したタオルを額に乗せた。 まだ昨日の盗賊襲撃から一日しか経っていない。だが、盗賊どもはぶち切れた住民たちに完膚無きまでめっためたにされたため、今では誰一人として動ける者はいない。このまま、レイドの言っていたとおり首都ビサクからやってくる本部の『ガレアン』に身柄を引き渡すことになっていた。 そしてすでに、住民たちは町の復旧作業に取りかかっている。 「城壁とかさ、城門もぶっ飛ばされたから相当かかるって。金も時間も。あと家だなぁ。こういう町外れはあんまり被害なかったけど」 「ラッキーですよねぇ」 「……ステン、そういや、小鳥、いなくなったんだって?」 ステントラは病み上がりのくせして、ガイルの隣で首都で買ってきた酒をちびちび飲みながら答えた。 「ああ〜、なんかあの最後のバタバタでいなくなったらしいな。俺もよく知らん」 「本当か? それと、『よかったのか』」 ガイルはそっとステントラを見上げる。ゴーグルで隠れて見えない彼の瞳は、なぜか、薄く笑ったような気がして。 「いいんだよ。でも、たぶんしばらく来られねーんじゃねぇかな。まだ子供だし」 「……ホント、お前ってびっくり箱」 「んだとぅ。まだまだお前がびっくりするような知り合い、いるんだからなぁ〜」 「へぇ……う、また、痛くなってきた」 「んじゃ薬飲んで眠っとけぇ。ルーちゃん、俺らも仕事」 「ええー、行くんですかぁ?」 ティルーナは面倒くさそうに言って、ガイルの掛け布団の端を握りながら言った。 「私ガイルさんの看病ということで〜」 「そーいうのが通じると思うか? あの頑固で人使いの荒い『ガレアン』様に。腹に穴開けた人間まで狩り出すような鬼畜によ! 俺たちは瓦礫のける作業だと」 「むぅ〜」 ティルーナは渋々、ステントラと共に部屋を出て行った。 ガイルは静かになった自室で、天井を眺めながらつぶやいた。 「……疲れる、一日だったな」 そして、目を閉じる。 どこかでまた爆発が起こった。だが、今度は黒ではなく、真っ白な煙が立ち上った。 のどかな時が流れゆく。空は青く、蒼く、澄み渡っている。 フィロットに、夏がやってくる。 |